Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
七
「スコットランド人の家」「エンジニーアの一家」「北方の灯台」「家族史」「灯台技師の家」?
祖父が、凡そ想像に絶する困難と闘ってベル・ロック暗礁岬の灯台を建てた時の詳しい記録が残っている。それを読んでいる中に、何だか自分が(或いは未生の我が)本当にそんな経験をしたかのような気がして来る。自分は自分が思っている程自分ではなく、今から八十五年前北海の風波や海霧に苦しみながら、干潮の時だけ姿を見せる・此の魔の岬と、実際に戦ったことがあるのだ、と、確かにそう思えて来る。風の激しさ。水の冷たさ。艀の揺れ。海鳥の叫。そういうもの迄がありありと感じられるのだ。突然胸を灼かれるような気がした。磽たるスコットランドの山々、ヒースの茂み。湖。朝夕聞慣れたエディンバラ城の喇叭。ペントランド、バラヘッド、カークウォール、ラス岬、嗚呼!
私の今いる所は、南緯十三度、西経百七十一度。スコットランドとは丁度地球の反対側なのだ。
七
「灯台技師の家」の材料をいじっている中に、何時かスティヴンスンは、一万哩彼方のエディンバラの美しい街を憶い出していた。朝夕の霧の中から浮び上る丘々や、その上に屹然として聳える古城郭から、遥か聖ジャイルス教会の鐘楼へかけての崎嶇たるシルウェットが、ありありと眼の前に浮かんで来た。