Japanische Klassiker mit Furigana
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とうせいかつしゃ
党生活者
小林 多喜二
Lesen Sie 党生活者 (とうせいかつしゃ) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.537 Zeichen · 130 Bildschirme
私の母親は水呑百姓で、小学校にさえ行っていない。ところが私が家にいた頃から、「いろは」を習らい始めた。眼鏡をかけて炬燵の中に背中を円るくして入り、その上に小さい板を置いて、私の原稿用紙の書き散らしを集め、その裏に鉛筆で稽古をし出した。何を始めるんだ、と私は笑っていた。母は一昨年私が刑務所にいるときに、自分が一字も字が書けないために、私に手紙を一本も出せなかったことを「そればかりが残念だ」と云っていたことがあった。それに私が出てからも、ます/\運動のなかに深入りしているのが、母の眼にも分った、そうすれば今度もキット引ッ張られるだろう、又仮りにそんなことが無いとしても、今は保釈になっているのだから、どうせ刑が決まれば入るのだから、その時の用意に母は字を覚え出しているのだった。私が沈む少し前には、不揃いな大きな字だったが、それでもちアんと読める字を書いているのに私は吃驚した。――ところが、母親は須山に「会えないだろうか?」と訊いて、さア会わない方がいゝでしょう、と云われると、「手紙も出せないでしょうねえ」と云ったそうである。私はそれを須山から聞いたとき、そう云ったときの母親の気持ちがジカに胸に来て弱った。