Japanische Klassiker mit Furigana
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にゅうばい
入梅
久坂 葉子
Lesen Sie 入梅 (にゅうばい) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.934 Zeichen · 20 Bildschirme
熊本の田舎、そこは私の先祖の地でもあった。作衛は黙ってかすかにうなずくと立ち上り、荷物などまとめはじめた。私はふと幼い頃、作衛の背に負われて、盆踊りをみに行った事を思い出した。作衛と別れることは悲しかった。辛らかった。御餞別を包んでやると、始めは辞退したが、やっとそのやせた胸におさめた。
「明朝、かえります。おくさま、ぼっちゃま、お達者でおくらし下さい。じいはひとりぼっちで死んでゆきます。故郷だって、誰もいやしません。死水をとってくれる人もおりません。勿論、おはるに会いません。でも奥さま、これだけ申します。おはるが離縁になったのはわしのせいじゃございません、わしはおはるの亭主に会っておりません、本当です、あれが離縁になったのはあれが不具だったからなんです。結婚したって子供もこしらえること出来んのです。じいはそれをとうから知ってたんです」
空がにわかに、くもって、雨がふり出した。梅雨に入ったのだと、私は庭先に眼をやった。作衛の語ったおはるのことなど、もうどうでもよかった。が作衛と別れるのは、私にしてもやはりさびしいことだった。
翌朝、起きてみるともう作衛の姿はみえなかった。