Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
しかし不幸にも今日までは見出すことが出来なかった。
彼はカッと眼を開けた。それから改めて読み出した。と、にわかに彼の眼は一行の文字に喰い入った。
「八ヶ嶽山上窩人に対しては、深讐綿々尽く期無けん、これ水狐族の遺訓たり」
こうそこには記されてある。
「うん、これだ!」
と葉之助はポンとばかりに膝を叩いた。
「なんという俺は迂濶者だ。これほど立派な活路があるのに、それに今まで気が付かなかったとは……八ヶ嶽山上の窩人に対し水狐族が深讐とみなすからには、窩人の方でも水狐族を深讐と見ているに相違ない。したがって窩人の連中は、水狐族に対して敵対の手段を考えているに相違ない。ではその窩人と邂逅って水狐族に対する敵対の手段を尋ねたとしたらどうだろう! 恐らく彼らは喜んで教えてくれるに違いない。八ヶ嶽に行って窩人と逢おう!」
日没を待って葉之助は窃り城を抜け出した。
途中で充分足拵えをし、まず茅野宿まで歩いて行き、そこから山路へ差しかかった。薬沢、神之原、柳沢。この柳沢で夜を明かし翌朝は未明に出発した。八手まで来て北に曲がったが、もうこの辺は高原で、これより奥には人家はない。