Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「黙れ!」
と突然桟敷から、怒鳴り付ける声が湧き起こった。
「何を吐かす、こん畜生! ふざけた事を吐かさねえものだ! あんまり酷い悪口を云うと、この掛け小屋をぶち壊すぞ!」
「そうだそうだ!」と四方から、それに和する声がした。
「そんな下界が嫌いなら何故下界へ下りて来た!」
「それには訳がございます。それというのも下界人の、憎むべき恐ろしいペテンから、湧き起こった事でございまして、一口に云うと私の娘が、多四郎という下界の人間にかどわかされたのでございます。それのみならず、その人間は私どもが尊敬する宗介天狗のご神体から黄金の甲冑を奪い取り、私どもをして神の怒りに触れしめたのでございます。そのため私達は山を下り、厭な下界を流浪し歩き、こんな香具師のような真似までして、厭な下界人の機嫌を取り、生活して行かなければならないという、憐れはかない身の上に成り下ってしまったのでございます」
「態あ見ろ! いい気味だ!」
また群集は湧き立った。
「しかし」と杉右衛門は手で抑え、「しかし、憎むべき多四郎の、盛んであった運命も、いよいよ尽きる時が参りました。しかも彼は我が子によって命を断たれるのでございます。