Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
足の音がするよ。多四郎さんが来たんだよ」
牛丸はこう云って坂の方を首をのばして見やったが、
「下界の奴なんか意気地なしさね、あんな坂を上るのに大息を吐いているんだからな。――俺らはそれでは林へ行って今度は山鳥でも捕ってやろう」
牛丸はそのまま走り出したが、やがて林に隠れてしまった。同時にひょっこり坂の登り口へ形のよい姿を現わしたのは問題の主の多四郎であった。
彼は年の頃二十四、五、都風に髪を結い当世風の扮装をし色白面長の顔をした女好きのする男であったが、眼に何んとなく剣があり、唇が余りに紅いのは油断の出来ない淫蕩者らしい。肩に振り分けにして掛けているのは麓の城下から持って来るところの色々の珍らしい器具や食物で、つまり彼は山と城下とを往来している行商人なのであった。
「お、これは山吹様、あなたお一人でございますかな? お父様はどこへ参られましたかな? え、寄り合いにおいでなされたと?」
多四郎は愛想よく笑いながら山吹の側へやって来たが上がり框へ腰を下ろした。
山吹は何んとなく狼狽して思わず顔を赤らめたりしたが、
「はい、お父様は寄り合いで天狗の宮まで参りました。