Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
――権九郎は唇を嘗める。
「坊さんの説教と俺の術とどっちが娘っ子によく利くか、験して見るのも悪かあねえ、何んと権九そうじゃねえか」
一四
焚火はどんどん景気よく燃える、小屋の中は暖かい。
畳なら十枚は敷けるであろう、一間しかない小屋の中には、味噌桶、米俵、酒の瓶、塩鮭の切肉、醤油桶、帚、埃取り、油壺、綿だの布だの糸や針やで室一杯に取り乱してあり、弓だの鉄砲だの匕首だの、こうした物まで隠されてあるが、すべてこれらは売品であって、すなわち山上の窩人部落へ高価に売り込む品物であった。
「さて」
と権九郎は舌なめずりをし、茶碗の酒をグッと干したが、
「女の話はそれで打ち止めか、金の話はどうなんだい?」
「こいつあちょっと話せねえの。計画半ばと云うところさ」
「へ、云ってるぜ、ちゃらっぽこを、その計画が怪しいものさ」
「おやおや変梃に疑ぐるね。まあ精々かんぐるがいい。今にアッと云わせてやらあ」
「まあそう云わずと聞かせてくんな、一人占めは阿漕でやす」
「へ、またお決まりの芝居もどきか。うん一人占めと云われちゃ俺も何んだか気持ちが悪い。よしきたそれじゃ明かしてやろう、まず金高から聞かせようかの」