Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうえんのはなとどくが

公園の花と毒蛾

小川 未明

Lesen Sie 公園の花と毒蛾 (こうえんのはなとどくが) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 18.574 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

一

一

それは、広い、さびしい野原でありました。町からも、村からも、遠く離れていまして、人間のめったにゆかないところであります。

ある石蔭に、とこなつの花が咲いていました。その花は、小さかったけれど、いちごの実のように真紅でありました。花は、目を開けてみて、どんなに驚いたでありましょう。

「なんという、さびしい世界だろう。」と思いました。

どこを見ましても、ただ、草が茫々としてしげっているばかりで、目のとどくかぎりには、友だちもいなければ、また、自分に向かって呼びかけてくれるようなものもありませんでした。すぐ、自分のそばにあった、黒みがかった石は黙り込んでいて、「寒いか。」とも、また「さびしいか。」とも、声をばかけてくれません。

小さな、気の弱いとこなつの花は、どうして自分から、この気心のわからない、なんとなく気むずかしそうに見える石に向かって声をばかけられましょう。

花は、独りでふるえていました。ただ、やさしい眸で、自分をいたわってくれるのは、太陽ばかりでありました。しかし、太陽は、自分ひとりだけをいたわってくれるのではありません。この広い野原にあるものは、みんな、そのやさしい光を受けていたのです。