Japanische Klassiker mit Furigana
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いちょう
公孫樹
豊島 与志雄
Lesen Sie 公孫樹 (いちょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.764 Zeichen · 20 Bildschirme
父には妙な癖があった。足の蹠の胼胝を丹念に鋏で切り取るのだ。月に一二回は必ず切り取らなければ承知しなかった。胼胝といっても、踵やなんかに出来るのではなくて、小指の根本の蹠に、五十銭銀貨くらいの大きさに、まんまるく出来るのだった。切り取ってもすぐに固くなる、固くなると歩くのに痛い、痛いよりも気持が悪い、それで月に一二回は鋏で切ってとるのだった。
大抵日曜日やなんか、比較的朝遅く起き上る日、飯を食って新聞などを見てしまうと、それから、朝日のさしてる座敷の縁側で、ゆっくりと足の胼胝を切りにかかった。裁縫に使う握鋏で、少しずつ固い皮を切り取って、柔かくすべすべになるまでは、いつまでも気長にやっていた。
厳めしい長い口髭や荒い髪の毛などが、朝日の光を受けて赤茶けて見えていて、大きな額の下に、太い眉根をきっと寄せ、片足を投げ出して身体を変な風にくねらせ、真面目に一心に足の皮を切っている、その姿を見ると、僕は滑稽な気がしたり悲惨な気がしたりした。そういう父は、いつも平素より年が老けて見えた。
時によると、父は縁側に長く寝転んで、母や女中達に胼胝を切らせることもあった。