Japanische Klassiker mit Furigana
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はつこい
初恋
矢崎 嵯峨の舎
Lesen Sie 初恋 (はつこい) von 矢崎 嵯峨の舎 (やざきさがのや) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.226 Zeichen · 39 Bildschirme
を抱きあげてそしてやさしい手でくるくると「コロ」の頭を撫でまわした,「コロ」は叱られたと思ッたか、目を閉じ、身を縮め、首をすぼめて小さくなッたその風の可愛らしさ,娘はその身の貌を「コロ」の貌から二三寸離して、しけしけと見ていたが、その清しい目の中にはどんなに優しい情が籠ッていたろう。「もう虫なんかを捕るのではないよ」と言ッて、その美しい薔薇色の頬を猫の額へ押し当て、真珠のような美しい歯を現わしてゆッたりと微笑ッたが、そのにっこりした風はどんなにあどけなく、どんなに可愛らしい風であッたろう! 自分は猫を羨ましく思ッて余念なく見とれていた。娘は頬の辺にまだ微笑のほのめいている貌をちょいとふり上げて自分の貌を見たが、その笑い貌の中には、「なぜそんなに人の貌を見て」と尋ねるような風があッたので、あるいはなかッたかも知れぬが、自分はあッたように思ッたので、はッと貌を赤らめて、あわてて裏庭へ逃げ出してしまッた,が恥かしいような、嬉しいような、妙な感情が心に起ッて何となく胸が騒がれた。
その日の七ツ下りに自分は馬の稽古から帰ッて来て、またいつものように娘のいる座敷へ往ッて見ようと思ッたが、はてまア不思議! 恥かしいような怖いような気がして、往きたくもあるが往きたくもなく、どうしたものかと迷い出して、男らしくないと癇癪