Japanische Klassiker mit Furigana
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はつたびのだいぼさつれんれい
初旅の大菩薩連嶺
木暮 理太郎
Lesen Sie 初旅の大菩薩連嶺 (はつたびのだいぼさつれんれい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.508 Zeichen · 19 Bildschirme
其当時は今のように整色乾板やフィルターなどが有ったかなかったか、そんなことは少しも知らない、よし有ったにしても此時は使わなかったことは確だ、あとで原板を借りて写真屋に焼かせて見て驚いた。肉眼には紺碧の空にあれ程鮮かに浮き出して居た富士や南アルプスが、靄に包まれたようにぼんやりしている。どうしてもこの富士をはっきり焼きつけて呉れとねじ込んで、開業した許りの写真屋を手古摺らせたりした。尤も後に其名を知ったこの黒岳山と、外に大菩薩岳とを撮した二枚だけは、近かったせいか先ず無難であったが、其他のアイノ尾根の上の大平附近から見た富士や南アルプス、御坊山の北側から眺めた飛竜や雲取、佐野峠から仰いだ大菩薩連嶺等は、情ない程に白茶化ていて、輪廓さえもはっきりしていない。山の写真と言えば極めて尖鋭でないと気の済まない自分は、それ等を見る度につくづく整色乾板とフィルターとの有難さを思う。
ここ迄来ては最早焼山へ踰える峠へは出ずに、黒木の茂っている山から東に曳いている尾根を上ろうと言う事に決した。即ち大峠附近から赤谷(赤岩)を経て黒岳山に至るものである。正面に見える茅処の山は、頂上だけ禿げていて麓は藪が深い。