Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

睫毛が長く眸を霞めている。

「何うしたい!」四度目には気軽く訊ねた。「散々私を待たして置いて来る早々沈んで了って。何で其様な気の揉めることがあるの? 好い情人でも何うかしたの?」

「遅くなったって私が故意に遅くしたのじゃないし。ですから、済みませんでした、と謝っているじゃありませんか。早く来ないと言ったって、方々都合が好いように行きゃしない。……はあッ、私もう斯様な商売するのが厭になった。……」うるさそうに言った。

それまでは、機会に依っては、何処かつんと思い揚って、取澄ましているかと思えば、また甚く慎やかで、愛想もそう悪くはなかったが、今夜は余程思い余ったことがあるらしく、心が悩めば悩むほど、放埒な感情がぴり/\と苛立って、人を人臭いとも思わぬような、自暴自棄な気性を見せて来た。

その時私はます/\「こりゃ好い女を見付けた。此の先きどうか自分の持物にして、モデルにもしたい。」と腹で考えた。そう思うと尚お女が愛しくなって、一層声を和げて賺すように、

「……何を言ってる? 君が早く来ないと言ってそれを何とも言ってやしないじゃないか。見給え! 斯うして温順しく書籍を読んで待っていたじゃないか。