Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
婆さんは何時も根好く状袋を張っていたが、例の優しい声で、
「おや、雪岡さん、何うなさいました? 此の頃はチットもお顔をお見せなさいませんなあ。何処かお加減でも悪いのかと思って、おばさんは心配していましたよ。」と言いながら、眼鏡越しに私を見戍って、「雪岡さん、頭髪なんかつんで、大層綺麗におめかしして。」と、尚お私の方を見て微笑っている。
「えゝ暫時御無沙汰をしていました。」
と言っていると、
「雪岡さん。あなた既う好い情婦が出来たんですってねえ。大層早く拵えてねえ。」と、あの婆さんのことだから、言葉に情愛を付けて面白く言う。私は、ハテ不思議だ、屹度お宮のことを言うのだろうが、何うしてそれが瞬く間に此の婆さんの家にまで分ったろうか、と思って、首を傾けながら
「えゝ、少しゃそれに似たこともあったんですが、何うして、それがおばさんに分って?」
「ですから悪いことは出来ませんよ。……チャンと私には分ってますよ。」
「へえ! 不思議ですねえ。」
「不思議でしょう。……此の間お雪さんが柳町へ来た序に、また一寸寄った、と言って、私の家へ来て、『まあ、おばさん。聞いて下さい。雪岡は何うでしょう、既う情婦を拵えてよ。