Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひみつ

刺青・秘密

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 刺青・秘密 (ひみつ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.935 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

その動くのが薄ぼんやりとした明りを帯びているだけに、却って一層気味悪く感ぜられる。私は思い切って、松並木の間から暗い方へ首を出して、そのヒラヒラした物をじっと視詰めた。一分………二分………暫く私はそうして視詰めていたけれど、矢張正体は分らなかった。白い物がつい私の足の下から遠い向うの真暗な方にまで無数の燐が燃えるようにぱっと現れては又消えてしまう。私はあまり不思議なので、ぞっと総身に水を浴びたようになりながらも、猶暫くは凝視を続けていた。そうしているうちに次第々々に、ちょうど忘れかかっていたものが記憶に蘇生ってくるような工合に、或は又ほのぼのと夜が明けかかるような塩梅に、その不思議な物の正体がふいっと分って来たのである。その真暗な茫々たる平地は一面の古沼であって、其処に沢山の蓮が植わっていたのである。蓮はもう半分枯れかかって、葉は紙屑か何ぞのように乾涸びている。その葉が風の吹く度にカサカサと云う音を立てて、葉の裏の白いところを出しながら戦いでいるのであった。

それにしてもその古沼は非常に大きなものに違いない。もう余程前から私を脅かしているのである。