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Japanische Klassiker mit Furigana

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ほっかいのなみにさらわれたが

北海の波にさらわれた蛾

小川 未明

Lesen Sie 北海の波にさらわれた蛾 (ほっかいのなみにさらわれたが) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.968 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

」と、りんごの木はいいました。

蛾たちは、勇みたちました。ある日の昼ごろ、みんなは、この大旅行の途に上ったのです。自分たちの生まれた、故郷の深林をふたたびかすめて飛び、さらに、明くる日は、鈍い砂漠を越して、遠くまでいったのでありました。

空をかすめて飛ぶ蛾の群れは、たがいにおくれまいとしました。そして、夕暮れ方になると深林や、花園へ降りて休んだのでした。赤い夕日は、彼らの目に悲しく映りました。

あるときは、百姓らが焚いている野火が、真紅な花の風になびいている姿となって見えたりして、その中に飛び込んで、長い旅をつづけた末に、むなしく死んでしまった仲間もあります。また、街に輝いた火影に、つい誘惑されて、りんごの花の警めも忘れて、飛んでいくと、そこにはいい音楽が聞こえたり、唄の声がしたり、ほかに美しい塔や、噴水や銅像などがあったり、また花園さえあったりしたので、うかうかと時間を過ごしてしまって、みんなから離れてしまったものもあります。

しかし、根気強い蛾の群れは、翌日も、そのまた翌日も、旅をつづけました。そして、広い野原を横切り、あるときは、山の頂を越えて、ついに、夏のはじめのころには、はるかに、青い、青い、北海の見える地方へ達したのでした。