Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
ほらこないだ云ってただろう、
近いうちに若い御夫婦がいらっしゃるって――
だからその人達の家を作ってやらなくっちゃあならないからねえ。
「へえ若い御夫婦って――
どこへお家を御建て遊ばすんでございます?
「何! なんでもないんだよ、
お前あした金物屋へ行ってね一寸目位の高さが四尺位で長さが一間半位の『ふせかご』を作るようにたのんどいで。
三日位まででね。
「何だろうまあ。
女中は大きな声で笑いながら、
鳩の事でございますねえ。
と今思いあたったらしく云った。
「たった二匹ぼっちの鳩をお入れになるのに一間半なんて長さがいるんでございますか?
「だってお前せまかったら気の毒じゃあないか、
一間半だってこれっぽっちだよ。
わざわざたって行って千世子は柱から柱までの間をさして見たりして、
何だか楽しみなもんだねえ。
なんかと云って笑った。
おあきなさらなけりゃあいいが。
そう云って居る女中の顔に、
「また飼番は私だよ。
と云う色がありありと見えて居た。
私の用はそれだけなんだよ。
千世子はがっかりした様に云ってクルリッと後を向いてしまった。
いつもになく千世子は自分の留守に罪もない鳩に女中がつけつけあたりゃあしまいかなんかと云う事がやたらに気になって居た。