Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちよこ(に)

千世子(二)

宮本 百合子

Lesen Sie 千世子(二) (ちよこ(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.249 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

私はきっとない様な気がして居る。

千世子はそんな事を母親に云いながらも神経質で美くしい口調としっかりした頭を持って居ながら馬鹿な下らない事をして行方も分らない様になった知人の一人の事を思い出して思いがけない事のある人間の裡に肇も入って居るんだと思うと、もう一年もつき合って居たら思いがけない処から、思いがけないものが現れて来やしまいかと云う様な事が思われた。

其の次肇の来た時、千世子はこの前の事を何にも云わなかった。

肇も亦それについては一言も口に出さなかった。

懐の裡に入れて来た肇の雑誌に千世子が読みたいと思うものが出て居たのでそれを見つけるとすぐ奪う様にして息もつかず肇を忘れた様に読み始めた。

眼の奥が痛い様になるほどいそいで読んでフイと首をもちあげると不用意に千世子が昨夜っからのせっぱなしにして置いた短っかい一寸した感想の様なものを真面目に肇は見て居た。

千世子はホッと顔が熱い様になった。

けれ共すぐ元に戻った青白い顔を真正面に向けてうつ向いて読んで居る肇の顔を珍らしいものの様に見た。

丁度うっとりと眠ってでも居るかと思われるほど長い黒い「まつ毛」