Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

しまいを欠といっしょに言って、枕へ手を添えたと見ると、小母さんはその後を言わないで、それなりふいと眉毛のあたりまで埋まりこんでしまう。しばらく待ってみても容易にふたたび顔を出さない。蒲団の更紗へ有明行灯の灯が朧にさして赤い花の模様がどんよりとしている。

何だか煮えきらない。藤さんが今度来たのはどうしたのだというのか。何かおもしろくない事情があるのであろうか。小母さんは何とか言いかけてひょっくり黙ってしまった。藤さんはどうして九月から家を出ているのか。この対岸のどんな人のところにいるのであろう。

池へ山水の落ちるのが幽かに聞える。小母さんはいつしか顔を出してすやすやと眠っている。大根を引くので疲れたのかもしれない。小母さんの静かな寝顔をじっと見ていると、自分もだんだんに瞼が重くなる。

千鳥の話は一と夜明ける。

自分は中二階で長い手紙を書いている。藤さんが、

「兄さん」と言ってはいってくる。

「あのただ今船頭が行李を持ってまいりましたよ」という。

「あれは私のです」と言ったまま、やっぱりずんずんと書いて行く。

「それはそうですけれど、どうせこちらへ運ばなければならないのでしょう?」