Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんのすけしゅうげん

半之助祝言

山本 周五郎

Lesen Sie 半之助祝言 (はんのすけしゅうげん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.997 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

「ついては一つお願いがあるのですが、というのはです、……江戸へ帰るのにですね、その、あれです、お嬢さまを頂きたいんですが」

「なんだと、笙子を、江戸へ?……」

「私の妻に頂いて帰りたいんです」

「あれは埴谷の一人娘だぞ」

「私は三男ですから婿にゆけます」

図書助のへの字なりの口がだらっとあいた。脳震蕩でも起したようなぐあいであるが、続いていきなり笑いだした。

べらぼうに笑いながら、拳で膝を打ち、躯を曲げ、それから途切れ途切れに、

「いって申込め、自分であれに話せ」ひっひと笑いながら、

「――おまえはわる賢い、機転も利く、しかし肝心なところが抜けておる、肝心なところが、まあいってみろ、玄武社の連中もくそもない、誰よりおまえを憎み、おまえに復讐しようとしているのは笙子だ、それを嫁に欲しい、ああ堪らん、腹が痛い、苦しい」

図書助は片手で腹を押え、なおこみあげる笑いのために膏汗を流した。……あまりの騒がしさに吃驚したのだろう、菊枝夫人が入って来て良人の側へ坐った。

「どうあそばしました、そんなに大きな声でお笑いなすって、いったいなにが」

「こいつがな、この折岩が」こう云いかけて、そこを見ると誰もいない、半之助は早くも姿を消していた。