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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

片手を折った人形は、又首を折った。白灰色の眼が剥き出した首だけが、ころころと、四ツ本の前へ転がってきた。

名越と、仙波とは、ただの調子でない斉興の声に、心臓を突かれると同時に、人形を投げつけたらしい気配に、ちらっと眼を挙げたが、近侍の人々しか見えなかった。

(何うして、御立腹になったのかしら?)

と、二人の心が、心もち、蒼白めて、冷たくなった時

「不届者がっ」

と、斉興の、少し、顫えて、しゃがれた大きい声がした。二人は

「はっ」

と、いって、見えぬところであったが、平伏した。

斉興は、首を延して、二人を見ようとしながら、両手で、脇息を押えて、ぶるぶる両手を顫わしながら

「これっ、不届者――聞け」

と、叫んだ。

斉興の、思いがけぬ烈しい罵声に、二人は、手をついてしまった。

「不届者っ――こ、これへ参れっ」

甲高い、怒り声であった。

「おのれら、不所存な。何んと思いおる。たわけがっ」

二人は、平伏しているより外に、仕方がなかった。四ツ本も、二人と同じように手をついていた。

お由羅は、薄明りに金具の光る煙草盆を、膝のところへ引寄せて、銀色の長煙管で、煙草を喫っていた。