Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
手先の顫うのを二人に見せまいと、気を静めながら、左の隅へ、自分の名を書いた。その奉書の右の方には
其方不埓儀有之、食禄を召上げ、暇被下者也、月日、承之」
それから、その三人の名が、書いてあるのであった。八郎太が、受書をして、二人の前へ差出すと、一見してから、洞川が
「それで――」
と、一寸、いい淀んで
「三日の内に、退転されるよう」
「三日?」
「左様」
八郎太の顔は、怒りで、だんだん赤くなってきた。
「承知仕りました。御苦労に存じます」
洞川は、宝沢に合図して、立上った。次の間で、小太郎が、玄関の供へ
「お立ち」
と、叫んだ。八郎太は、坐ったまま、見送りに立とうともしなかった。
小太郎の手柄も、八郎太の訴えたことも、総て逆転して来た。多少の咎めは覚悟していたが、追放とまでは考えなかったし、三日限りで、出て行けというのも、情け容赦のないきびしさであった。
重豪公の放漫から、七八年前まで、藩財窮乏のために、知行の渡らないことさえあった。それに裁許掛見習などの役は、余分の実入とて無かったから、御暇が出れば、すぐにも困る家であった。
「七瀬――皆も参れ」
次の間で、行末の不安に、おののいていた七瀬らが入って来た。