Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「聞いたであろう」
「はい」
「何れにせよ、別れる運命になった――国許へ戻ってもらいたい。それに就いて、一つ頼みがあるが、益満の申す如く、元兇調所を、一つ、さぐって欲しい」
「はい」
「わしは、名越殿と談合の上、お国許の方々と策応して、小太郎と共に手段をめぐらそうが、或いは、これが一生の別れになるかもしれぬ」
二人の娘は、俯向いた。深雪は、もう、袖を眼へ当てていた。
「すぐ召使の者に手当して取らせい。目ぼしいものは売却して――小太郎、益満を呼んで参れ。ひっそりしているから、留守かも知れぬが、何処にいるか、心当りを存じているか?」
「存じております」
「深雪、何を泣く。女は女として、又一分の勤めがある。泣くようでは、父の子でないぞっ。泣くなっ」
廊下へ集まっているらしい三人の召使の一人が、すすり泣いた。七瀬は、ふらふらしそうな頭で――だが、元気よく
「綱手、門前の道具屋へ、深雪は、古着屋を呼んで来てたも」
「私がついでに」
と、小太郎が立上った。八郎太は、もう手箱から、不用の文書を破り棄てにかかっていた。
「お父様、妾にも、何か御用を仰せつけ下さいませ」
涙曇りの声だ。