Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

ほんの一足ちがいで、旦那様」

「何処かに、爺――野良馬でも、工面つくまいか」

「さあ――婆さん、松のところの馬は、走るかのう」

和田は

(走らぬ馬があるか、気の長い)

と、じりじりしてきた。

人通りの無い、灼熱した街道に、鉄蹄をかつかつ反響させて、小走りに馬が、近づいて来た。誰か、乗っているにちがいなかったが、和田は、町人か、百姓なら、話をして、借りて行こうと、疲れた腰を上げて、葭簾の外へ、一歩出た。

「先生」

玄白斎が、木箱をがたがたさせながら、半分裸の馬子を、馬側に走らせて、近づいて来た。

「馬がないか」

「一疋も、ござりませぬ」

「馬子」

馬子は、呼吸を切らして、玄白斎を、見上げただけであった。

「もう一疋、都合つかぬか」

馬も、馬子も、茶店の前で止まった。馬子は、胸を、顔を、忙がしく拭いて

「爺さん。四疋とも、行ったかえ」

「四疋とも、行ったよ」

「旦那、ここには、四疋しか居りませんのでのう」

和田は、馬側へ近づいて

「一足ちがいで、家中の者が、四人で――」

と、まで云うと、

「今か――」

玄白斎が、大きい声をして、和田を、鋭く見た。和田は、玄白斎のそうした眼を見ると同時に