Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「その、果合の場所は?」

と、七瀬が聞くと

「この二三町上でさあ。のう、待てと、お止めなされしは――」

「おや、眼を剥いたよ。豆腐屋あ」

「有難う存じました。駕屋さん、急いで」

駕が上った。

「いい御器量だのう」

「吉原にもいまい」

「ぶるぶるとするのう」

「首を見ては、ぶるぶる、女を見てはぶうるぶる」

人々は、遠ざかった。行きちがう人々は、悉く、血腥い話を、声高にして、行った。駕が、山角を曲ると、草叢のところに、旅人が集まっていて、菅笠や、手拭頭が動いていた。

「あれだっ」

と、駕屋が、叫んだ。二人は、駕の縁を握りしめながら、夫と、父とが、子と、兄とが、その中にいないように祈っていた。いないとわかっていても、何んだか、どっかで、斬られているような気がした。

四梃の駕が、急いでいた。そのすぐ後方から、一梃の駕が

「頼ん」

と、声をかけて、崖っぷちを、擦れ擦れに追い抜こうとした。一梃抜き、二梃抜き、三梃目のを抜いた時、その駕の中の侍が

「待てっ、待てっ、待てっ。とめろ、止めろっ」

と、怒鳴った。駕屋が、周章てて、駕を止めると

「益満っ、待てっ」

三梃目の侍が、刀を提げて、駕から、跣足のまま跳び降りて、抜いて行った駕を、追うと同時に、他の人々も、駕を出て、走りすがった。