Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
それから、家の中には甲高い叫びと、荒い足音と――表の人々は、口々に、騒ぎ合っていた。益満が、その隣りの旅舎に駕をつけると、隣りの騒ぎを見物するため、軒下に立ったり、往来へ出て見たりしていた宿の女中が、番頭が、周章てて、駈け寄ってきた。
「お疲れ様で」
とか
「先刻のお方様で」
とか、という御世辞を聞き流して、奥まった部屋へ入った。
表の人声と、ざわめきとは、未だ止まなかった。綱手と、七瀬とは、不安そうに、宿の人々が、部屋から出てしまうと、七瀬が
「まあ、嬉しいやら、びっくりやら――何んと思うて、あの、下僕の真似など?」
「隣りの騒ぎを御存じか」
「御存じか、とは?――騒いでいるのは、判っておりますが――」
「わしの手下の者が捕縛されたのじゃ、小母御。関所の刻限に一寸遅れたばかりに、小太郎にも逢えず――然し、これが、世の中の常で、一つの仕事を成就させるには、こうした蹉跌が、いろいろと起る。綱手、そいつにめげてはならぬ」
益満は、脚絆を畳んでいる綱手を見ながら、茶を飲んで
「国乱れて、忠臣現れ、家貧しゅうして孝子出づ。苦難多くして現れ出づ、男子の真骨頂。いよいよ益満が、軽輩を背負って立つ時が参った」