Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

母娘は、顔を見合せた。

「品のいい御老人で、つまり、お婆さんでござります。是非、何うか、へっ。お隣りの唄のお上手な方へも、御三人、お願い致すことになっておりますので、へい」

隣りの旅人が

「やいやい番頭、六畳へ、四人も寝られるけえ」

「へへへ、子守唄を、一つ唄って頂きますと、よく眠ります」

「おうおう、洒落た文句をぬかすぜ」

旅人は、立上って廊下へ出て来て、二人の部屋をのぞき込んだ。

「今晩は」

二人は、返事をしないで、番頭に

「では、そのお方お一人だけ――」

「へいへい、決して、もう一人などとは申し上げません。有難う存じました。それで、お唄の旦那」

「いやな事いうな」

「済みませんが、お侍衆を、お二人、割込ませて頂きます」

「侍?」

「薩摩の方で、今日の喧嘩のつづきでさあ。後から後詰の方が、追々参られるそうで」

七瀬と、綱手とは、身体中を固くして、不安に、胸を喘がせかけた。

隣座敷へ入った侍が、湯へ行くらしく、廊下へ出ると同時に、七瀬が、障子を開けて、その前へ進んだ。侍は、立止まって、七瀬を見ると

「おお」

「ま――御無礼を致しました」

七瀬は、一足、部屋の中へ引っ込んだ。