Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「当家のためには、恩人でござりますな。只今、何うなりました?」
「泉州、堺におって、内々、わしが見ておるが、この浜村に、よい娘がある。町人だが、これからは、牧、月丸――町人とて侮れんぞ。こう金が物をいうては、追っつけ、町人の世の中になろうも知れん」
「そうなろうと、なるまいと、刀を棄てることは、至極よろしいと存じます。この縁組、よろしく御取計らい下さいますよう」
月丸は、黙って、俯向いていた。
「そうか。すぐ承諾してくれて何より――」
「月丸――国許を立つ時に申した、軍勝秘呪は、わし一代かぎりじゃと――」
「はい」
「呪法の功徳を示して、わしは、玄白斎殿も、明日か、一月後か、一年後か、とにかく、遠からぬうちに、死ぬであろう。一人の命を呪うて、己の命を三年縮めるが、もし、玄白斎殿と呪法競べになれば、十年、二十年の命をちぢめるかも知れぬ。もし、わしが、三十年、五十年、平穏無事に暮せるなら、お前にも、秘法を譲ろうと思うたが、時が無うなった。学んで得られる道でもなく、言って伝えられるものでもない。以心伝心と、刻苦修練と、十年、二十年、深山に寒籠りをし、厳寒の瀑布に修行し、炎天に咀し、熱火の中に坐して、ようよう会得しても、平常には何んの用も為さぬ。