Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「別仕立で早く、渡してやれと、申しつけい」
調所が、百城に命じた。
「立身出世は、あせってはいかん。わしが、この藩財を立直す時には、三十ヶ年かかると思うた。朝五時に起きて、夜十時まで――町人に軽蔑され、教えられ、幾度も死を決して、やっと見込みのつくまでに三年かかった。それから、江戸、大阪、鹿児島と三ヶ所を、年中廻って、三十年が、二十年でこれだけになった。三ヶ所に積んだ軍用金が三百万両、日本中を敵として戦っても、三年、五年の程は支えられよう。これを顧みると、ただ辛抱と、精力と、この二つの外に出ない。同じ人間に、そう奇想天外の策のある訳はない。周章ててはいかん。斉彬公の世にならんでも、役に立つ奴は、判っている。袋持、そうでないか」
袋持は、調所が、軽輩から登用した若者であったが、調所の一面には、ひどく敬服していたが、一面に又、深い物足りなさがあった。
「お前の嫁にも丁度よいの」
と、調所は云いすてて、すぐ又、帳面をのぞき込んだ。
女中達の溜りからは、薬草を植えた庭が、見えていた。鶏が、そのあたりに小忙しく餌をあさっていた。それから、馬屋が近いらしく、ことこと踏み鳴らしている蹄の音が聞えていた。