Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「一人でよいか」
小太郎は、生暖かい足を掴んで
「これしきの――」
と、見上げて、微笑した。そして、両脚を持って、逆に立てた。血が、土にしむ間も無く、細い流れになって、ゆるやかに下り出した。小太郎は、はずみをつけて、一振り――二振り――ざっと、笹が音立てて、どんと、地へ響いた。八郎太は一人の襟を掴んで、少し引きずったが、手に余ったらしく
「力業は――いかん」
と、腰を延した。そして、鞘へ納めた刀を、もう一度抜いて、刃こぼれを調べた。
(十人とすれば、残り八人――)
小太郎は、血に塗れた手を紙で拭いて
「ここまで見張が出ておりましては、用意なかなか粗末でござりませぬな」
「うむ――」
と、頷いてから
「腕が上ったのう」
「父上も、見事でござりました」
「わしは、せっかちでいかん。じわじわ来られると、苦手じゃ」
話を終ると、冷たい風と、淋しすぎる静けさとが、薄気味悪く、二人に感じさせた。今、人を二人まで、この静かな山の中で斬ったとは思えなかった。
「頂上は、余程あると見えるの」
左手は、熊笹ばかりの山で、径は、左へ左へ行くが、四明の絶頂は、少しも、現れて来なかった。だが、少し登ると、微かに、人声が聞えた。