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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

用人が、二人の顔を、交る交る見てから、小さい声で

「その通り、書きましても、よろしゅうございましょうか」

「いかん、いかん。そんなことを書いたら、調所め、何う申すか、判らん」

将曹が、首を振った。そして

「五十両は、ちと、多すぎまするな」

と、由羅へ、微笑した。斉興が

「こいつは、芝翫に惚れとおる。娘時分からの肩入れで、わしの眼元が、芝翫に似とおるからと申して、それで、やっと、屋敷奉公を承知したくらいじゃ」

「初めて、承わります。なかなか、芝翫は、よい役者だそうでござりまするな」

用人が、真面目な顔で、世辞を云った。

「然し、もう、皺くちゃで――あ痛っ、毛をむしる奴があるか――何も、芝翫を、皺くちゃと申したのではない。わしが、くちゃくちゃだと、申すのじゃ。やれ、痛い、おお、痛い」

斉興は、片脚を、蒲団の下から投げ出して、唾を塗った。将曹が

「お睦まじき体を拝し、臣等、恐悦至極に存じ奉ります」

「将曹も、ちょくちょく、毛をむしられるてのう」

「上を見倣わざる臣はござりませぬ」

「何を申す、この馬鹿。家中一同毛が無くなっては、蛸の足みたいでないか」

お由羅が、ぷっと吹出して、炬燵の上へ打つ伏した。