Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
名も残るであろう。総てを、己一身に負いさえすれば――主家には、難題のかからぬ法もある――だが、捕まるものなら、捕まえたい――もし、宵の男なら?――あいつなら、金と、書類とを間違えたのであろう――それにしても、腕の無いのは――)
調所は、寝床の上へ坐って、腕組しながら、自分のしてきたことを、昔から、細かく想い出してみた。
庄吉は、自分の斬り落された右の小腕を、しっかと、左の手で掴んでいた。そして、掴まれている小腕は、又手函の書類を、しっかり、握りしめていた。
庄吉は、右手の切口を、箱の蓋の中に入れて、血の落ちるのを防ぎながら、作っておいた裏手の逃路から出ようとした。その途端、調所の部屋の方で、大勢の足音がした。庄吉は、自分の傷を知って、長く逃げられぬと思ったから、すぐ右手の納屋の中へ入って、隅の方の薪、炭俵の積み上げた中へ、もぐり込んだ。
傷口を縛ろうとして、左手で握っている自分の、斬り落された腕を、下へ置こうとしたが、何故か自分の手から放すのが厭なような気がした。斬り落された小腕は、愛人のような、愛児のような、自分の命のような――何にも更え難い、可愛い、そして、不憫なもののように、思えた。