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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

(妾は、益満様を好いていたのに――二人を好くということは、操の正しい女ではないのかしら?――いいや――いいや――益満様は、ただ、一寸、好きな人。百城様は、夫――一生添うて行く、妾の夫――)

綱手は、微かに聞える月丸の呼吸を、全身で聞きながら、何か、もっと話して欲しい、といったり、手でも、足でもいいから、一寸触れたい、と思ったり――だが、つつましく、固くなって、闇の中で、ただ一人、心を、眼を冴えさせていた。

時々、梢を渡る風の音と、何んとも知れぬ鳥の叫びと、自分の寝間着のすれる音の外、何一つ聞えない静寂さであった。

(もう、何刻かしら――)

と、思った。そして

(眠くなった。疲れているから――百城様も、本当に、今日はお疲れでいらっしゃるだろうから、お眠いのも無理はない)

と、思ったりしているうちに、眠入った。月丸が、静かに身体を動かして

「えへん」

と、小さく咳をした。綱手は、動きも、答えもしなかった。

(眠ったな)

と、月丸は、思った。そして、静かに、蒲団の中から抜け出した。

月丸は、帯を締め直した。そして、自分の蒲団の中に入れてあった脇差を差した。

(この女を利用して、敵党の秘密をさぐり出す――忠義の前には、こういう手段も仕方はあるまい)