Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
月丸は、それが、自分を添寝に呼んでいるのだ、と思ったが
「明日は、又、歩かねばならぬから、早く眠るがよい」
「歩くとは?」
「大阪へ戻らねばならぬ」
綱手は、暫く答えなかったが
「妾も――」
「いいや、そなたは意のままに――」
綱手は、又、暫く黙っていた。
「小太郎は、あの――老僧の手当で十分であろう。然し、介抱して上げるがよい。わしは、いろいろと用があるゆえ、早く戻らねばならぬ」
「でも――来る時は、四五日――」
「思い出したことがあっての」
「では――帰りは――妾、一人?」
「迎えに――迎えに、京まで参ってもよい。綱手、ここで一日、二日別れたとて、一生別れる訳でもあるまいに――」
「それは、そうでございますが――」
綱手は、起き上ったらしく、蒲団の上の方で声がした。そして、衣ずれの音がしたので
「何処へ」
「一寸」
「厠へか」
「はい」
綱手は、月丸の枕頭のところを、静かな足取りで歩んで行ったが
「ま、砂が――ああ、ここら――一面に」
立止まったらしく
「誰か――入ってまいったのでござりましょうか。ひどい土が――」
「土?」
月丸は、自分の周章てていたことに、怒りが生じてきた。