Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「やいっ」

走り出した。背中も、髻も、土埃にまみれて、顔色が蒼白に変り、脣が紫色で、眼が凄く、血走っていた。小太郎が、振向いて

「用か」

庄吉は、小太郎の三四尺前で、睨みつけたまま、立止まった。

「元の通りにしろっ。手前なんぞに、なめられて、このまま引込めるけえ。元通りにするか、殺すか、このままじゃあ、動かさねえんだ――おいっ、折るなら、首根っ子の骨を折ってくれ」

庄吉は、じりじり近づいた。手首がやけつくように、痛んだ。

(早く手当すりゃ、癒らぬこともあるまい)

と、思ったりしたが、意地として、後へ引けなかった。印籠一つと、かけ代えに、商売道具を台なしにされたと思うと、怨みと、怒りとで、いっぱいになってきた。

「返事をしろ、返事をっ」

小太郎は、黙って、歩き出した。かっとなった庄吉は

「うぬっ」

小太郎の髻を、左手で、引っ掴もうと、躍りかかった刹那、小太郎の体が沈んだ。延びた左手を引かれて腰を蹴られると、たたっとのめり出ると、膝をついてしまった。

「大変だ――若旦那」

表に立って、庄吉の仕事振りを見ようとしていた若い者が、叫んだ。

「何うした?」

「やり損って――あっ、突き倒されたっ」