Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
こうしている一刻たりとも、時間が惜しい。身が軽かったなら、わしは、異国へでも行っておろう。益満、判るか、わしの心が――」
斉彬は、微笑していたが、座の一人は、涙を流して、膝の上へ落ちたのを、拭こうとはしなかった。益満は、俯向いたまま、黙っていた。
「お察し申しております」
益満の声も、少し顫えていた。
「よって――よって、奸物共が、憎うて」
「お前としては――然し、わしには、憎む暇がない。又、わしに万一のことがあれば、久光が立つであろう。久光は、わしの心をよく知っていてくれるし、わしの志をも継いでくれるであろう」
「久光殿と、殿と、較べ物になりませぬ」
益満は、鋭くいった。
「では、わしに万一の事があれば、誰が志を継ぐ? お前が、島津の当主になれるか?」
「万一のことなどと――よって、奸物共を――」
「万一とは、兇刃に倒れることだけではない。薬品の爆発もある。意見の相違による刺客もあろう。幕府の方針の変更による処分もあろう。わしも、わしの身辺も、多事なのじゃ。だから、いつも、申すが、お身達には、判っておるようで、判っておらぬらしい。つまり、わしの仕事を助けてくれること、天下のために、生犠となる所存の下に、この国の危機を救い、福利を計ること。