Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、叫びがした。三人が、表口の方を見て、不安な眼付きをした。益満が
「小藤次の奴輩だの」
と、笑った。
「留守だよ」
南玉の向い側の人が云った。
「何処へ行ったい」
「あいつのことだから、判んねえや。寄席で、下足でもいじってやすめえか」
「深雪って、娘が、来なんだかい」
「ここの長屋は、皆、下地っ子に売っちまって、娘は只今、お生憎様だ。そのうち、こしらえておかあ」
戻って行く足音がした。
「向いの平吉、科白がうめえや。そのうち、こしらえておかあ、と来やがった」
「だって、商売が、新粉細工じゃねえか」
「あっ、そうか」
「旅に立つのは、明朝、明けきらぬうちに、南玉、いつでもよいのう」
「この張扇一本、打出の小槌みてえなものでげす」
「庄吉の用意は?」
「先生、ちっと、申しにくいんだが――」
「何?――金のことかの」
「いいえ――あいつ」
「富士春か」
「可哀そうな気が――」
「心得た」
「先生、元のように、可愛がってやって下せえ。あっしの頼みだ」
「恭なく、頂戴仕る」
「いや本当に、戯談で無しに――あいつあ真実、手の無いあっしに、よく尽してくれましたよ。だが、今、別れてやるのは、あいつのために、先生、いい別れ時だと、あっしゃあ、思っていますがね」