Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「庄吉、お前、何故巾着切になった?」
「あっしですかい――さあ、何う云ったら――えらそうな奴の、肝を潰すのが、面白いからでげすかな」
「一寸踏み外した形だのう――惜しいものじゃ。富士春のことは、心配致すな」
「有難うございます。これで、安心した」
「然し、庄吉、世を救うためには殺すかもしれぬ」
「世を救うために――ええ、ようがすとも。深雪さんだって死ぬんだ。ようがすとも」
黄昏が近づいて来たらしく、部屋の中が、暗くなってきた。三人は、時々軽い口を利きながらも、何処となく沈んでいた。
宿命の渦
表には、知らぬ人の名が書いてあった。披くと、小太郎からの手紙で、傷が癒ったから、大阪へ来た、宿にいるから、来るか、行こうか、としてあった。
綱手の胸は、握り締められるように、苦しかった。いつか、この苦しみが来ると、覚悟はしていたが、兄に会えば、兄は月丸との地獄に堕ちた恋を、きっと知っている、というような気がした。
(怒って、斬るであろう。いや、死ね、というだろう。その時は、自害してもいい。然し、その前に、月丸へ、このことを話したい。そして自害したい――いいや、話をしたなら、月丸は、きっと、小太郎を討ちに行くにきまっている。