Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「牧殿、あれは?」
「無用っ」
と、答えるが、早いか
「ええいっ」
川面に響き、街へつん裂き亙って、爆弾の如く、全力的な叫び。
「とうっ」
その、張り切った気合を受けて、弾き返した瞬間、小太郎は、柳の木蔭へ、躱けていた。何う斬って、何う引いたか――月丸は、刀を元の如く下段につけて、静まり返っていた。小太郎は
(出来る)
と、思った。そして、今の一撃に、全力を込めた月丸が、呼吸を調えて、第二の襲撃に移る間に、こっちから、一撃を加えようと、じりっと、一足出た。
「兄さま」
涙と、声とが、もつれ合っていたが、妹綱手であった。小太郎は、その声を聞くと同時に
(妹と月丸と、何かがあるにちがいない)
と、感じた。そして、そう感じると、妹へ、月丸へ、訳もなく、怒りが湧いて来た。何んとなく、二人に計られたように感じた。
綱手の影は、足許が、もつれるように近づいた。
「来るなっ」
「危いっ、寄っては――」
と、小太郎と、月丸とが、同時に叫んだ。
「や、やめて下さりませ。頼みまする。何事も、妾が、わ、妾が、悪いのでござります」
綱手は、裾を帯の間に挟んで、白い足を出して、倒れかかるように、二人の刀の間へ走り込んで来た。