Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
月丸が
「綱手」
と、耳許で、叫んだ。
「綱手っ、見えるか」
小太郎が、蝋燭と、顔とを、差出した。綱手は、もう、乱れかかろうとする視力を、集めて、二人の顔を見ると、頷いた。そして、顫える手を、延して、小太郎の膝を、掴んだ。小太郎は、微かに、涙をためていた。
「月丸様と――」
綱手は、微かに、これだけいって、眼を閉じて、首垂れた。船頭が、水を持って来た。
「水じゃっ。飲むか」
小太郎が、口へ当てがった。綱手は、細く口を開いた。水を、苦しそうに、が、甘そうに飲む綱手を眺めている内に、小太郎は、憤りを、すっかり忘れてしまって、不幸な家に生れて、こんな死様をする妹は、仮令何をしようとも許してやらなければならない、という風に考えられて来た。
肩から、背へ、大きく、深く斬り割った疵であった。月丸が、布を当て、帯で縛ったくらいでは、血はとまらなかった。
月丸は、膝の上へ、綱手を抱き上げて、その肩をしっかり押えて、抱きしめながら、顔を綱手の胸の上へ伏せていた。
「綱手、許してくれえ」
微かに、むせんで、そういったまま、肩に波を打たせて、顔を埋めていた。綱手は、水から、口を離すと、どんよりとして来た眼で、小太郎を見上げて