Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
自分だけを殺したのでは、不憫な綱手に対して、あの世で顔を合せられないと考えた。
(あの娘は、契った、敵の倅と――そして、死んだ。苦労をして――殺されて――)
七瀬は、百城と逢った夜から幾夜か、幾度か、綱手のために、泣き明かして
(死んだものは仕方がない。だが、妾は、あの子の魂を慰めてやらなくてはならんし、夫へ申訳もしなくてはならんし――小太郎にも、深雪にも、母の不行届を、詫びなくてはならぬし――」
七瀬の眼は、険しくなってきた。
「尋常に、お立ちなされ、挑まれて立たぬは、御卑怯でござりませぬか」
「まず――」
「いいえ、いいえ。お立ちなされぬなら、そのままに――」
七瀬は、柄へ手をかけた。
「狼藉な」
百城は、聞きわけのない、七瀬の態度――無法な、無謀な――及びもつかぬ女の腕でありながら、刀にかけて、己を通そうとする愚かさに、腹が立ってきた。
(綱手は、満足して死んだに――それが、綱手を慰める母の態度か)
と、思ったが
「綱手は、喜んで死んだ」
とは、初めに、二人を欺いて、素性を隠していた百城として、気が咎めて云えなかったし、云っても、信じてもらえるとは思わなかった。