Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「旦那、そっち一人で?」
人夫は、西郷の大きい体を見て
(力がありそうだ)
と、肚の中では、その加勢を喜んではいたが、目付の侍に叱られるのを恐れて
「いえ、二人でやっつけます。何うか、お上んなすって」
「よいから、押せ」
「へえ」
西郷が、棺の下へ、肩を入れたのを見て、二人も、肩を当てた。
「よいか――それっ」
棺は、ぐらっと、一揺ぎすると同時に、ぐぐっと、押上げられた。一人の足軽が、穴の外から、棺へ手をかけて
「大丈夫ですかい」
「さ、もう一押し」
西郷は、土を踏み固めて
「よいかな――そらっ」
棺は、穴の縁へ乗りかかって、すぐ、地上の方へ倒れかかった。
「何うも、有難うござりました」
人夫は、礼をいって、土を踏み崩して、穴の外へ出た。西郷が出ようとすると、土は、崩れ落ちるばかりで、登れなかった。人夫が
「旦那様」
と、手を出した。一人の人夫が
「一寸――」
と、いって、穴の中へ、飛び込んだ。そして
「押しますから」
西郷は、二人の人夫に、尻を押され、手を引かれて、穴から出た。二人の侍が
「近いから、転がして行け」
西郷は、二人をじっと見て
「転がして――それが、元の御船奉行への作法でござるか」