Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

提灯の灯影の中に、二人の歩んで行く姿が見えていた。だが、すぐ、露路の入口を曲ろうとした。そして、その途端、深雪は、振向いたようであった。小太郎は、心の中で

(深雪)

と、叫んだ。そして、湧いて落ちる涙で、胸も、頭も締めつけられるように苦しくなってきた。

「ここを曲って――」

「小父様、ここを、真直ぐに参った方が」

「近いにゃ、近いが、病犬がいるで、夜は通れん」

南玉は、左へ曲った。

「一寸これを」

提灯を出したので、受取って

「何か?」

「犬のことを云ったら、犬便、犬のおしっこ、一寸、こう片足を上げて、石の上へ――」

南玉は、軒下の石のところへ立って

「しい、こっこっこ、しいっ、こっこっこ」

いくら経っても、南玉は、小便を止めなかった。

「小父様」

と、先に立って、ゆるゆる歩いていた深雪が、声をかけた。

「ああ、提灯提灯、早く早く」

「何うなされました」

深雪が、戻って来ると

「暗いと、見えん。おしっこで、へまむし入道を書いていたが、何処が、鼻やら、頭やら、かね。はい、お待遠さま」

深雪の、頭の中は、ぼんやりとしていたが、こうして歩いていると、家の中にいる程、悲しくはなかった。