Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
そして、脇差を差して、草履の無いのに、一寸、躊躇していたが、すぐ、跣足のまま、急ぎ足に――二人の方へ、振向きもしないで、去ってしまった。
「一切有縁を放下して、八方空」
「心のままに、働けまする」
小太郎が、微笑した。その瞳を、じっと、義観が、凝視めていたが、頷いて
「助力してやるがよい」
と、云った。
「はい」
「助太刀にも、いろいろとある」
「心得ております」
「剣をもってか」
「いいえ」
「言葉でか」
「いいえ」
「然らば」
「月丸、自ら、月丸を裁く」
「出来たっ」
義観が、叫んだ。
「そうなくてはならん。よく、到った。それでよい」
義観が、頷いた。
「では――」
小太郎は、右手に置いてある刀を取ろうともしないで、礼をして、立上った。
「どうれ、わしも、見物に参ろう。茶でも飲んでから、ゆっくりとの」
義観は、次の間へ、出て行った。小太郎は、縁側へ出たが――そして、耳をすましたが、何んの声も、何んの音もしなかった。そして、自分の心も、この山の中と同じように、澄んでいて、動かなかった。そして、その底に
(三人とも死にはしない)
と、いうような信念があって、少しも、心が乱れなかったし