Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
骨立った手で、駕を掴みながら、よろめき出たのを見ると、玄白斎は、憎さよりも、不憫さが、胸を圧した。
(よく、こんなになるまでやった。お前ならこそ、ここまで、一心籠めてやれるのだ)
唯一人の、優れた愛弟子に対して、玄白斎は、暫くの間
(死んではいけないぞ。お前が、死んでは、この秘法を継ぐものがない)
と、思って、痛ましい姿を、ただ、じっと眺めていた。
牧は、俯向いて、よろよろとしながら、腰掛のところまで行くと、左右へ
「よろしい」
と、低く、やさしくいった。
「大丈夫でござりますか」
牧は頷いた。そして、腰掛へ、両手をついて、玄白斎に叩頭をした。
「御心痛の程――」
これだけいうと、苦しそうに、肩で、大きい呼吸をした。
「某――今度のこと――先ず以て、先生に、談合申し上げん所存にはござりましたが――さる方より――火急に、火急に、との仰せ、心ならずも、そのまま打立ちましたる儀、深く御詫び申しまする」
牧は、丁寧に、頭を下げた。
「ちと、聞いたことがあってのう」
玄白斎は、やさしくいって、髯を撫でた。
「はい、何んなりとも」
「奥へ参らぬか」
飽津が
「牧殿、ちと、御急ぎゆえ――」