Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
「いや、仙波八郎太を埋めたり、百城月丸を埋めたり、いろいろでござる」
牧は、義観をじっと凝視めながら、頷いて、懐から、金包を取出した。一人が、
「仙波のも、御僧、埋められたか」
と、聞いた。
「猫でも、人間でも、何んでも扱うな」
牧が、金包を義観の方へ押出して、
「軽少ながら、倅への読経料、お収め下さいますよう――せめて、水ぐらいは、お供して行って手向けてやりとうござるが、子は父の心を知らず、父は又、父の情に欠けたる者、何卒、御僧において、拙者の代りとして、よろしく、冥福をお祈り下さるよう――」
静かに云って、軽く頭を下げた。そして
「参ろう」
と、三人に云って
「暫く、お山を拝借仕ります」
牧が立上った。一人の士が、鳥目を出した。牧は、編笠へ手をかけた。そして、四人が立上った時
「山を借りるとは?」
と、義観が、牧を見上げて云った。
「山を借りるとは、修法のためかな」
一人が
「左様」
と、答えた。
「牧殿」
牧は、名を呼ばれて、じっと、義観を見たし、警固の人々も、編笠を手にしたまま、油断なく、義観を見守った。
「あの火炉の形は、三角でござったのう」
そう云って、牧の眼を、じっと見上げた義観を、牧も又、無言で、凝視めていた。