Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
小太郎は、微笑んだ。
(わしの運は、開けて行くのだ)
と、感じた。明るい力が、髪の毛の先にまで、充ちてきた。だが、それと共に
(何故、この運が、もっと早く来なかったか? 父のいた時に――母の死ぬ前に――)
小太郎は、そう思って、二人を悲しむと同時に、二人の霊へ、この明けて行く仙波の家の運を見せようと思った。
「悉ない」
小太郎は、その茶店の前を去る時の脚に、軽さと、力とを感じた。
(三人以上の奴等が居るとしても、わしは、勝てるぞ)
と、いう信念が、手の先へまで、充ちてきた。小太郎は、編笠をとって、鉢巻を当てた。その中には、鎖が入っていた。草鞋の紐を調べてみた。帯のゆるみの有無へ、手を当ててみた。目釘を、もう一度、改めてみた。そして、崖端へおいた編笠をきて、崖沿いの細道を、少し降って、それからの爪先登りを、呼吸を整えつつ、登って行った。
崖が、だんだん低くなり、林が、まばらになり、木が少くなると、草原が、滑かな線をして、起伏してきた。
(広いところだ)
と、感じた。だが、牧は逃げない敵だと思うと、十分に、落ちついていてもよかったし、広々とした山頂は、自分の匿れるところも無い代りに、敵を匿すところもなかった。