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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

牧は、いつの間にか、だんだん光を失って、空虚になってきた眼で、じっと、小太郎を凝視していたが

「おお」

それは、ほんの脣の端から出た、微かな響きであった。微かに脣の動いた微笑であった。

「討つがよい」

と、いいたかったが、討つ、ということが、何ういうことか、討たれるとは何か――自分も、小太郎も、頭の中で、もう判断が、つかなくなってしまった。

身体が、地の下へ、急に落ちて行くようにも、感じるし、空中に、浮き上って行くようにも思えるし、赤い強い光が、眼の前いっぱいになったかと思うと、すぐ、暗黒になるし、物音は、何も聞えないし――何かが、身体に触れるようにも感じたが――その次の瞬間には、総ての感覚を、なくしてしまっていた。

小太郎は、血のついた刀を、提げたまま、じっと、牧の身体を、見つめていた。

(これが、牧仲太郎か――わしの一家を苦しめた、牧の最期か?)

斑点が――紫色の斑点が、どす黒い肌の上へ現れて、肉が落ち、髪は枯草のように――何んの抵抗力もなく――それは、老いた乞食が、野垂死をするように――その光った眼は物乞いの憐愍さのような微笑さえして――その死体は、白痴のように、口を開いて――