Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
その中で、唯一人、日本のため、幕府のため、阿部のために、自分の利害を、薩摩の利害を、越えて、見識を、手腕をかしてくれた人は、斉彬であった。伊勢守にとって、斉彬を、失ったということは、自分の頭を、両脚を、背骨を、失ったと同じようなことであった。
幾度か、大きく、息を吐き、幾度か、膝の上の手を、組んだり、解いたり――伊勢守の頭の中は、斉彬の死を聞くと共に、空虚になって、急に、日本の、幕府の四方が、暗くなったように思えた。襖が開いたので、顔を上げると、西丸御留守居、筒井肥前守政憲が、入って来て
「修理が、亡くなったそうな」
と、云って、前へ坐った。そして、坊主の足早に持って来た褥を敷いて
「斉彬を奉じて、倒幕をやろうなどと企てておった浪人共は、さぞかし、力落しであろうが――惜しい人物だが、又、邪魔な人物でもあった」
伊勢守は、それに答えないで、眼を閉じたままであった。
(斉彬が、亡くなれば、異国掛が、堀田一人で、堀田と、斉彬は、段がちがう――斉彬は、勝麟太郎という軽輩を、いつか推しておったが、島津の家風なら、いざ知らず、幕府として、堀田と、軽輩とを、併用する訳には、行かない――国の衰える時には、人物が無いが、天下に号令をしている徳川として、堀田と、小栗。