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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

ヌッと立った弁才坊は、「民弥!」とじっと娘を見た。「秘密の一端明かせてやろう、部屋へおいで、来るがよい」

縁を上って行く後から、従いて行ったのは娘の民弥で、二人家の内へ隠れた時、老桜の陰からスルスルと忍び出た一人の人物があった。

5

人物と云っても少年である。年の頃は、十四五歳、刳袴に袖無を着、手に永々と糸を付けた幾個かの風船を持っている。狡猾らしい顔付である。だが動作は敏捷である。辻に立って風船を売り、生活を立てている少年商人、だがそれにしても何のために、こっそり弁才坊の屋敷などへ、人目を憚り忍び込んだのだろう?

「うむ、あそこに窓がある、あそこから様子を見てやろう」

呟くと木立を縫いながら、屋敷の横手に付いている小窓の下へ走り寄った。人差指へ唾を付け、窓の障子へ押え付けたのは、小穴を開ける為なのだろう。窓が高いので覗きにくい。

「困ったなア困ったなア」

こんなことを云い出した。

「よし」と云うと一刎ね刎ね、木間へスポリと飛び込んだかと思うと、苔蒸した石を抱えて来た。

「こいつを足場にしてやろう」

そっと窓下へ石を置いたが、やがてその上へヒョイと乗ると、背延びをして小穴から覗き出した。