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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

Lesen Sie 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.869 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

文字を見詰めて右近丸は、しばらく熟慮したけれど、意味をとることは出来なかった。

で、そのまま書物を閉じ、帙へ入れると書棚へ返し、それから改めて卓の上の、人形を取り上げて調べたが、奈良朝時代の風俗をした、貴女人形だというばかりで、これと云って変わったところもない。

悉皆目算は外れたのである。

失望をした右近丸は、佇んだまま考えている。

同じように失望した娘の民弥は、これも佇んで考えている。

唐寺の鐘の鳴る頃である。夕の祈りをする頃である。永い春の日も暮れかかってきた。

「明日また参るでございます」

別れを告げた右近丸が、民弥の屋敷を立ち出でたのは、それから間もなくのことであった。心にかかるは謎語であった。

「『くぐつ、てんせい、しとう、きようだ』……何のことだろう? 何のことだろう?」

南蛮寺の横を歩いて行く。

森右近丸が帰ってしまうと、やっぱり民弥は寂しかった。そこで一人で牀几に腰かけ、窓から呆然と外を眺め、行末のことなどを考えた。

窓外の春は酣であった。桜はなかば散ってはいたが、山吹の花は咲きはじめていた。紫蘭の花が咲いている。矢車の花が咲いている。